- 概要 -
バラモン教とは、紀元前の古代インドのアーリヤ人と呼ばれる民族の生活規範や価値観や信仰の総称である。それに対してヒンドゥー教は、バラモン教の聖典や教義を引き継ぎながら、土着の神格や信仰形態を取り入れて変容しながら現代まで伝わるインドの地域宗教である。
- 詳しい解説 -
バラモン教とは、古代インドにおいて、アーリヤ人と呼ばれる民族によって編纂された聖典「ヴェーダ」で示されている教義や神々の世界に対する信仰や、社会体制や価値観など、あらゆる側面で人々の生き方を規定する教えのことである。バラモンと呼ばれる司祭階級をトップとする社会階層を肯定し、バラモンは儀礼祭式によって社会や宇宙の秩序を司ると考えられた。
それに対してヒンドゥー教とは、バラモン教の聖典や教義を引き継ぎながらも、各地方の土着の神や風習を取り入れたり、新しい思想を取り入れたりしながら発展したインド社会に通底する信仰である。バラモン教が形式主義や儀礼主義に陥っていたことに対する反動から、仏教やジャイナ教のような新興宗教や、正統派の中から生まれたより哲学的な思想を吸収したり相互に影響しあった。新しい神格や思想は、バラモン教の神や聖者の権威を借りて正統性を主張した。今日までヒンドゥー教はインドの価値観に影響している。